Holland Kyushu website project
JCE X 小山田将監(アーティスト、デザイナー) X 武田昌也(グラフィックデザイナー)
Japan Cultural Exchange(JCE)は、会社設立の前に「日蘭文化交流をするなら必ず九州、長崎と佐賀に行かねば」と、2014年11月に佐賀と長崎を始めとする九州の北部の県へ赴きました。
長崎は江戸の鎖国時代に唯一の海外に開かれた窓として、出島や平戸にオランダ商館が置かれ、オランダ文化が地元に浸透した場所。佐賀は、オランダのデルフト焼にも影響を与えた有田があります。オランダ商館に運び込まれた砂糖を幕府に献上するために通った道は「シュガーロード」と呼ばれ、この道が通るエリアには甘いお菓子がたくさん誕生したとも言います。このように、たくさんのオランダの記憶が残っている土地です。
各地で行政の方々や美術館、職人さんなど様々な方と交流しているうちに、2016年が九州とオランダにとって記念となるような大きな行事が計画されていることに気付きました。
有田創業400年、2016年にはデザイナーの柳原輝弘氏とオランダのデザイナーScholten & Baijingsが有田焼と作る新しいブランド「2016/Arita」の発表、出島の6棟の改修工事の終了、2017年の出島の橋の完成、シーボルト没後150年によりオランダ人作曲家によるオペラの発表、などです。
この機会に、オランダと九州の間で何か出来たら・・・このようなアイデアを共有できたのが、オランダ、デンハーグ在住のアーティスト・デザイナーの小山田将監さんと元アムステルダム在住、現在は帰国し東京で活躍中のグラフィックデザイナーの武田昌也さんです。
当時はKLMの福岡直行便も就航中で、実際にオランダと九州が結ばれていました。サイズもほぼ同じである九州とオランダ。この2つの場所が、その特別な歴史的関係性をベースに、現代的な新しいつながりに育てていけるのではないか。この想いを下地に前述クリエイターのお二人と共にアイデアをビジュアル化、また実現化できるプロジェクトにするためのブレインストーミングの日々が始まりました。
それとタイミングを同じくして、オランダ文化の海外発信の機関DutchCultureと在日オランダ王国大使館からこの2016、2017年の記念イベントをまとめ、広く告知するための特別ウェブサイト「Holland Kyushu」の作成の依頼が舞い込んで来ました。
既にJCEと小山田さん、武田さんのチームはオランダと九州間の歴史や文化などの知識を深めていましたので、私達のこれまでのアイデアがやっと形に出来ると、喜んでお仕事を承諾。まずは、このプロジェクトに一貫して使用されるロゴの製作からプロジェクトは始まりました。
ロゴは、望遠鏡のようなシンボリックな形が交差するもの。オランダと九州、歴史と未来、伝統とイノベーション、2つの要素が交差する多くのプロジェクトを抱えたこのウェブサイトにふさわしい、シンプルでインパクトのあるロゴが完成しました。
DutchCultureとオランダ大使館から支給のテキストは、Ibuki & Penの蛭田伊吹さんに日本語訳していただきました。色、フォント、写真選び、テクノロジー、私達チームとオランダチームとの間でコミュニケーションを密に取り理解を深めながら、10週間という短い期間でローンチを迎えました。
JCEにとっても、オランダで活躍する日本人クリエイターがチームとなってオランダの団体と協働、オランダと九州をつなぎ、情報発信し、インスピレーションが沸くようなプラットフォームを作る事が出来る。これは非常に新しい素晴らしい経験でした。
2016年に入り、JCEが主催したMONO JAPANもこのウェブサイトに取上げてもらえることになりました。出展者の多くが九州からお越しになったからです。また4月にはいよいよミラノサローネでの発表を皮切りに、有田が新しいブランドを世に発表します。その後オランダでも、ミュージアムプレイン近辺にフラッグショップ「ARITA HOUSE」が誕生、国立博物館でも4月22日~10月9日まで有田の特別展が開催されます。
Holland Kyushu website
小山田将監
オランダ、デン・ハーグ在住、デザイナー/アーティスト
2005年渡蘭オランダの広告代理店勤務後2011年独立、主なデザイン業務にパッケージデザイン、CI計画、ビジュアルデザイン、事業立ち上げに必要なグラフィックデザイン制作/アドバイスなど。またアーティスト活動では現在Identityに関する調査/出版活動を行います。
「つくることと関わる」
つくることに関わり技術や素材の知恵を学び、地域の価値を見出しながら、文化を伝承させ、原点を組み立てるためのプロジェクトを行います。
「Holland Kyushu」
私はこのプロジェクトと関わることになった訳は、オランダと九州が400年まえから今まで繋がりを持っているという事実と、妻の実家が九州であるという歴史的/個人的な繋がりからスタートしました。のち文化やデザインのパートナーと共に具体的な構想が始まり、その中からウェブサイトのアイデアが生まれました。今後オランダと九州の住む人々がこの価値をきちん理解できるよう、具体的な情報伝達を行っていきます。
武田昌也
アートディレクター/グラフィックデザイナー
1979年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、