濱野貴子個展「アーネマウデンからアワシマへの眺め+」

濱野貴子個展「アーネマウデンからアワシマへの眺め+」

現在JCEではオランダを中心に活動を展開されてきたアーティスト、濱野貴子さんの個展”A view from Arnemuiden to Awashima +/アーネマウデンからアワシマへの眺め”が行われています。今月3日に行われたオープニングでは、オランダ国立博物館(Rijks museum)東洋美術セクションのキュレーターである Menno Fistki氏にも、濱野さんのアーティストとしての活動や今回の展示の彼自身の解釈について、ユーモアに富んだ素晴らしいスピーチをしていただきました。

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今回のインスタレーションでは、壁に直接描かれたドローイング以外のすべての作品は、過去3つ別の時期、場所(アーネマウデン、窪津、粟島)にて行われてきたプロジェクトの中で、フィールドワークを通じて派生してきた作品郡です。

実際にフィールドリサーチで収集したその土地由来の伝説や神話であったり、現実に起きた話などを出発点として、ドローイングや写真、アニメーションなどのメディアを通じ作品に昇華されてきました。ドローイングは自分を自由にするツールとして捉える濱野さんは、リサーチを展開する上で収集した、情報やイメージを元に制作を始めるものの、そこに囚われるのではなく、ドローイングをする上で連想ゲーム的に湧き上がるイメージなどを積極的に取り入れ、作品を制作されるそうです。具象的な表現が多く見られるなかにも、どこか“謎”が存在し、土地由来の神話や物語に新たな形が与えられ表現されているようです。

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Fistki氏のスピーチの中でも触れられていましたが 、濱野さんのこれまでの活動のキーワードの一つにInterconnectedness (すべての物は繋がっている、一見関係のないようなこと同士もどこかで繋がっている)があります。

今回の展示では、その時間的にも地理的に異なる背景から生まれてきたそれぞれの作品が、背景や文脈にとらわれずに配置され、一つのインスタレーション作品として構成されています。それぞれの作品は、新たな関係性、繋がりを持ち始めます。

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注意深く作品を鑑賞し、流れを追っていくと、イメージ同士が、画の中、外で、さらに空間も巻き込み、呼応しあっていることに気づきます。

また壁面全体を遠目から見ると、まるで断片的な記憶が浮遊し、互いに想起しあっているようなイメージのようでもあります。

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ドローイングや写真のイメージは本やアニメーション他の媒体の作品にも登場してきます。ナレーションや音、本のページの流れなどにより、またドローイングや写真などの作品を追っていくのとは違うイメージの“繋がり”を見いだすことができます。

自分という存在は自分を取り巻く世界によって形成せれている、その世界無しには自分は存在しない、と濱野さんは語ります。

今回のインスタレーションでも、一つ一つの作品が独立したものになり得ると同時に、他の作品の存在があるからこそ生まれてくる、新たな物語性や特別な鑑賞体験が在るように思えます。

展示は今月26日まで、ぜひこのユニークな展示体験の機会ををお見逃しなく!

写真;小野博