アルツハイマーカフェ見学

アルツハイマーカフェ見学

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オランダには、この国民性と社会だからこそ実現した、数多くの参考にすべきユニークな動きや政策、市民活動などがあり、在蘭日本人の私達も驚かされるような取り組みによく出会います。

オランダでのアルツハイマーに対する動きもその一つです。

JCEでは先日「アルツハイマーカフェ」という集まりを見学してきました。

これは全国のアルツハイマーに関するイベントや情報提供、サポートなどを行う「Alzheimer Nederland」の牽引の元、オランダ国内各地域で月に一度公民館などを会場に、夜の2時間ほど誰でもが参加出来るイベントです。

私達が訪問したのはアムステルダムの西にある公民館、入り口を入ると30人ほどの来場者が既におり、また運営側の方々が温かく迎えてくれました。スタッフの方々は全員60歳以上、皆がボランティアで運営しています。来場者は患者とその家族、また介護関係の人たちなど様々で、JCEと同じようにポルトガルからも見学に来た人々がいました。入場者は更に増え、結果的には40人を超える来場者が参加しました。

会場はとても明るい雰囲気で「病気」に関する集まりには見えません。「カフェ」と名のつくとおり、飲み物を頂き、人々は歓談していましたが、その後その日のプログラムが始まりました。

この日はまず短いドキュメンタリー映画を観た後、来場者みんなでディスカッションというプログラムで、司会の女性の他に一組のカップルが登場しました。この夫妻、奥様がアルツハイマーを患い、上映映画はこの夫妻の日常やインタビュー、家族や周りの友人たちとの生活を追ったドキュメンタリーでした。

奥様の困惑や葛藤、旦那様のサポート、子供たちの反応、日々に持ち上がるたくさんの些細な問題、奥様が取り入れている芸術活動、など30分ほどの映画でした。映画によってたくさんの気付き、アルツハイマー患者のリアリティーがより理解でき、同時に、自分が描いていたもっと悲劇的なストーリーとは違っていたこと、福祉のしっかりしたオランダだからか、また裕福な家庭だからか、ある種の余裕も見てとれて、二つの国の間にいる者として本当に興味深い内容でした。

その後のディスカッションでは、誰でもがこのご夫妻に質問が出来、来場者はこのアルツハイマーという病が身近にある人たちばかりということもあり、多くの来場者が質問や意見を発していました。そしてその内容は大変切実なものばかりでした。患者である当人同士、またはその家族が意見を交換し、またはお互いの知っている情報を交換し合える場、これが定期的に大きく開催されることによって、また継続的に運営される事によって得るものは本当に大きいと感じました。

この場に来るだけで得られる、患者と家族の緩やかなネットワーク。
誰でも参加できるのでじわっと社会に浸透していき、この病に対する広く深い理解が社会にもたらされるのだと思います。
もし自分の親や周り、または自分がアルツハイマーになったときにすぐに頼れる場があるというのもとても安心です。
この継続が患者や社会に対するセイフティーネットを作っていくのだと思います。

オランダには認知症村と呼ばれる、認知症の人々だけが住み、彼らが普通に自立して暮らせる村もあります。この、患者を病人として扱うのではなく、彼らが人間らしく暮らしていけて、それを支える仕組みを考えること、この観点や発想、挑戦や実現が、オランダならではだなあと感じさせられる点です。